普段生活していると身の回りにさまざまな案内サインがあります。トイレや出入り口、駅の乗り換えの案内の看板など。また、文字ではなくひと目見てわかるように、案内記号で示している「ピクトグラム」などが使われています。
ところが、この便利なピクトグラムが外国人から見ると意味を間違って捉えてしまうそうです。
2020年東京五輪に向け、このピクトグラムの改定をしようという動きがあります。ここでは、ピクトグラム以外にも地図記号や新しくなる駅名標をご紹介します。
ピクトグラムはどう変わる?
ピクトグラムはほとんどの方が、どこかで見かけたことがある案内記号。例えば生活圏内では…
とか、普段目にすることがありますね。それ以外にリオ五輪では各競技を表すのにも使われました。
そもそも、ピクトグラムが広まるきっかけになったのは、1964年の東京五輪だったんです。
来日する選手や観客のために競技種目やトイレなどがひと目でわかるように、当時の人が脳汁を絞り出して考案し、広まっていったそうです。
その後、日本工業規格(JIS規格)で定められたピクトグラムは約140種類と増えましたが、その約70種が、国際標準(ISO)と異なり外国人には伝わらないそうです。
ご存じのとおり、2020年は東京五輪が開催されます。それまでに、混乱をさけるための改定をしようというわけです。
<検討される新しい案内用図記号の例>
さて、2020年に向けて、経済産業省はピクトグラムのJISを改め、国際標準に揃える検討会を2016年7月に発足させました。
2016年度中に改定する図案を決め、2017年度度には改正を行う予定です。また、現状のピクトグラムでは対応しきれないということもあり、無線LANが利用できる場所やイスラム教徒がお祈りできる祈祷室など旅行者に必要な図記号も約40種類追加するそうです。
ちなみに、高島屋新宿店では、外国人観光客の増加に伴い早くから百貨店初の祈祷室を設置し、独自のピクトグラムを使用しています。
なお、変更が検討されているピクトグラムの例は次のようなものです。
さらに、追加されるものは以下のものです。
他に追加されるピクトグラムがどんなものか気になりますね。
<2017.1.31追記>
温泉マークは、現在のマーク(JIS/国内規格)と国際規格(ISO)のどちらでも使用が可能ということを経済産業省が発表しました。
地図記号も新しくなる!
日本の基本となる地図を作成している国土交通省の付属機関・国土地理院は2016年3月、外国人向けの地図記号15種類を発表しました。
ちなみに、我々日本人が使う地図記号は今まで通り変わることはないです。でも、両方知っているといざ外国人旅行者に道を聞かれても対処できるので頭の片隅に置いておくといいかもしれませんね。
新しい駅名標はこうなる
JR東日本は、各駅に固有ナンバーを割り当てる「駅ナンバリング」を首都圏エリアでスタートさせました。
駅ナンバリングは、首都圏の地下鉄や私鉄ですでに導入されています。JR東日本もオリンピック・パラリンピックなどで増加する外国人観光客に対し、分かりやすく案内できるよう導入することとなりました。
<ナンバリング表示方法>
② 主な乗換駅には、駅名を英字3文字で表現した「スリーレターコード」を表示。
例)東京=TYO、新宿=SJK
まとめ
いかがでしたでしょうか?
2020年に向けて案内サインをはじめ、東京の街の様子も少しずつ変わっていくことだと思います。また、久しく東京に行ってない方も、その変わりように驚くでしょうね。
さて、ピクトグラムの改定に対して、反対の声も上がっているそうです。例えば、群馬県安中市の「磯部温泉」が、温泉マークを変更しないように経済産業省に要望を提出。
磯部温泉では「温泉記号発祥の地」を謳いPRをしています。さらに、2月22日を「温泉マークの日」に制定し、最大の売り物にしているほどです。
安中市では現在使用している温泉マークが、JISにより別のマークに制定されると、今までのイメージが薄まり忘れ去られると懸念しています。
また、安中市以外に大分県からも同じような要望が経産省に来ており、検討会も頭を悩ませているのではないでしょうか?
歴史あるピクトグラムを外国人観光客のために変更する…おもてなしする側の日本としては、難しい問題ですね。
ただ、温泉マークは歴史があるものなので、現状のものを海外の人に覚えてもらえばいいのではないでしょうか?
何でもそうですが、行き過ぎた親切は過保護になる得るので、おもてなしと過保護をはき違えないよう物事が進めばいいのですが…。
でも、検討会の関係者はどっちつかずの事柄を決めるのは大変です。なんとか、いい落としどころを見つけてください。
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