リオ五輪から男女ともに正式種目として採用された7人制ラグビー。
その女子ラグビー「サクラセブンズ」の日本代表選手が発表されました。
女子ラグビーでは、世界ランキングという概念はなくコアチームと呼ばれる世界トップ11か国
に入ることが一つの目安になります。
女子日本代表は今、世界の中でどの位置つけているのか、代表選手のプロフィールとあわせて解説します。
7人制ラグビーって?
7人制ラグビー(Rugby sevens)は、15人制ラグビーと似て非なる種目で、セブンズとも呼ばれます。
試合時間は、前後半7分ずつ(ハーフタイム2分)で、フィールドの大きさは15人制と同じ広さで行われます。
試合時間の短さから、2、3日程度の開催期間で予選から決勝トーナメントまで実施。そのため、
・15人制と変わらないフィールドを7人で守る
・1人あたりに与えられるスペースが広いため、1対1の勝負が見られる
・1日で複数試合をこなさなければならない
・スタミナ消費が激しいので、体調管理が重要
などの特徴があります。
ちなみに試合時間が短いため、選手はキックオフと同時にフルスロットルでテンポの速い試合を繰り広げます。流れを持っていかれると瞬時に勝負がつきます。そのため、番狂わせが起きやすく選手は一瞬の気も抜くとはできません。
サクラセブンズの実力は?
さて、サクラセブンズは世界の中でどの位置につけているのでしょうか?
2009年、リオ五輪で7人制ラグビーが正式種目として発表されてから、日本は強化に力を入れるようになりました。
とはいえ、当時はトップ11か国のコアチームに入ることは出来ませんでした。しかし、強化合宿などを繰り返すことによって、どんどん力をつけていくことになります。
ただ、その強化合宿というのは過酷を極めたものだったそうです。強化選手が参加する合宿の中で、特にキツイ合宿のことを「○○ショック」と呼ぶとか。
例えば、千葉県で行われた「勝浦ショック」と呼ばれている合宿があります。
この勝浦での強化合宿の内容はというと、砂浜ダッシュを含めて、ボールを持たずにひたすら6日間走り続けるという過酷なもの…。
早朝5時半から、下りの坂道ダッシュを約2km。砂浜に着いたら、お互いの顔を砂に押し付け合うタックル練習。顔じゅうの穴という穴が砂だらけになり、大さじ一杯分は確実に砂を食べたとか…。
中村キャプテンはあまりのキツさに、坂道でのタイムレースでは後ろから来た車に轢かれてもいいとか、勝浦行きの電車が発車するホームには行きたくない…などと思ったそうです。すごく気持ちがわかるような気がします…。
苦労の甲斐あってか、サクラセブンズは力を付けていきました。「2015-16年ワールドラグビー女子セブンズシリーズ」でコアチーム昇格決定戦を行い、見事コアチーム入りを果たしました。
※セブンズシリーズはコアチーム11か国、ゲストチーム1か国の合計12か国で争われます
そしてリオ五輪の予選では、香港大会と日本大会の両方で完全制覇を成し遂げ、アジア最強という結果も出しています。
サクラセブンズは、世界から「世界一テンポの速いラグビーをするチーム」という評価を得ました。
それでは、過酷な合宿を乗り越えてきたサクラセブンズにメダルを獲得する可能性はあるのでしょうか?
サクラセブンズのメダルの可能性は?
リオ五輪でのメダル候補は、ニュージーランド、オーストラリア、イギリスなどが挙げられます。
強豪がひしめくなか、サクラセブンズは「2015-2016年ワールドラグビー女子セブンズシリーズ」に初めてコアチームとして参加しました。結果は、残念ながら最下位の12位となってしまいました。
メダル候補に挙げた3か国とは、実力の差は歴然。サクラセブンズは世界トップとの差を痛感させられる戦いとなったようです。この結果から考えると、現段階ではメダル獲得は難しいかもしれませんね。
しかし、サクラセブンズは世界一を目標にしています。中村知春主将は、「サクラセブンズの強さは何度倒されてもはい上がっていくこと」だと語っています。
リオ五輪で上位に食い込むには、まず下位チーム相手に取りこぼさないことが重要です。また、そのうえで上位チームには大番狂わせを起こさなければなりません。
一口にメダル獲得といっても、非常に難しい道のりですが、視聴者としては世界を驚かせるようなラグビーを見たいですね。
次章では、世界に挑む選手たちをご紹介します。
サクラセブンズ代表選手
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中村 知春 |
なかむら ちはる | |
1988年4月25日(31歳) | |
神奈川県出身 | |
身長/162cm | |
体重/64kg | |
出身校/法政大学 | |
所属/アルカス熊谷 |
※中村選手は代表の主将を務めます
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兼松 由香 |
かねまつ ゆか | |
1982年6月17日(37歳) | |
愛知県出身 | |
身長/160cm | |
体重/62kg | |
出身校/愛知教育大学 | |
所属/名古屋レディース |
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竹内 亜弥 |
たけうち あや | |
1986年8月5日(33歳) | |
岐阜県出身 | |
身長/167cm | |
体重/68kg | |
出身校/京都大学 | |
所属/アルカス熊谷 |
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加藤 慶子 |
かとう けいこ | |
1988年8月7日(31歳) | |
大阪府出身 | |
身長/162cm | |
体重/61kg | |
出身校/法政大学 | |
所属/世田谷レディース |
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桑井 亜乃 |
くわい あの | |
1989年10月20日(30歳) | |
北海道出身 | |
身長/172cm | |
体重/70kg | |
出身校/大正大学大学院 | |
所属/アルカス熊谷 |
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山口 真理恵 |
やまぐち まりえ | |
1989年10月22日(30歳) | |
神奈川県出身 | |
身長/159cm | |
体重/59kg | |
出身校/オーストラリアン カレッジ オブ ナチュラル セラピーズ(ACNT) | |
所属/ラガールセブン |
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冨田 真紀子 |
とみた まきこ | |
1991年8月2日(28歳) | |
岡山県出身 | |
身長/170cm | |
体重/68kg | |
出身校/早稲田大学 | |
所属/世田谷レディース |
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横尾 千里 |
よこお ちさと | |
1992年5月22日(27歳) | |
東京都出身 | |
身長/164cm | |
体重/59kg | |
出身校/早稲田大学 | |
所属/東京フェニックス |
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谷口 令子 |
たにぐち のりこ | |
1992年9月7日(27歳) | |
アメリカ出身 | |
身長/166cm | |
体重/65kg | |
出身校/東京学芸大学 | |
所属/アルカス熊谷 |
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中丸 彩衣 |
なかまる あい | |
1997年9月7日(26歳) | |
神奈川県出身 | |
身長/170cm | |
体重/72kg | |
出身校/桐蔭横浜大学 | |
所属/アルカス熊谷 |
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大黒田 裕芽 |
おおくろだ ゆめ | |
1994年7月6日(25歳) | |
大阪府出身 | |
身長/155cm | |
体重/62kg | |
出身校/市立船橋高校 | |
所属/アルカス熊谷、大正大学 |
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山中 美緒 |
やまなか みお | |
1995年10月27日(24歳) | |
大阪府出身 | |
身長/157cm | |
体重/57kg | |
出身校/市立船橋高校 | |
所属/アルカス熊谷、大正大学 |
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小出 深冬 |
こいで みふゆ | |
1995年12月21日(23歳) | |
神奈川県出身 | |
身長/165㎝ | |
体重/57kg | |
出身校/金沢高校 | |
所属/東京学芸大学 |
※画像は日本ラグビーフットボール協会より
まとめ
テンポの速いラグビーをするサクラセブンズが、リオ五輪の舞台で強国を相手にどんな戦い方をしてくれるのか楽しみです。
本当に勝つことは難しいのは理解していますが、ニュージーランドやオーストラリアなどの強国に勝ってくれると最高ですよね。
2020年東京五輪に向けて、中長期的な強化が継続されることが決まっています。今回出場する若手選手は、東京では必ず中心選手として活躍することだと思います。
世界一を目標にするサクラセブンズ。サッカーのなでしこジャパンみたいに日本中を沸かせてくれる日がきっと来ると思います。
過酷な練習をしつつも、ケガ無く万全の体調でリオの舞台に立つことをお祈りしています。
試合日程、放送時間、結果はこちらから
2016年リオ五輪・7人制ラグビー/試合日程・放送時間・結果は?
女子代表サクラセブンズはこちら
2016リオ五輪/男子7人制ラグビー「セブンズジャパン」代表一覧
その他の競技はこちらのリンクからご覧ください(鋭意制作中)
2016年第31回リオデジャネイロ五輪/28競技と種目一覧と日程
こちらからサクラセブンズをもとにした漫画が読めますよ~♪
サクラセブンズ
女子7人制ラグビー日本代表、リオへの軌跡
[原作]工藤晋 /[作画]村岡ユウ
毎週金曜日更新(全4回)